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「……こんなに素晴らしいデザインを作られるんですから、これからいくらでも普通のお仕事にシフトしていけますよ。手始めに、ルームウェアから形にしていきましょう」  紀谷の笑みが冷淡なものに変わる。 「正常位しかしたことなさそうな顔しやがって。彼女に頼んで、ココにぶち込んでもらいな」  尻を鷲掴みにされ、背筋が総毛立った。間髪入れず肘を入れてやったつもりだったが、手応えはない。  振り向けば、紀谷はさっさと扉へ向かっている。ちらりと見えた口元が笑っているようだったので謝罪を待ってやったが、彼は何も口にしないままドアの向こうに消えた。  奴に聞かせるつもりで椅子を蹴る。  紀谷が置いて行ったローターはいったいどうすればいいのだろう。俺が自宅へ持ち帰らなければならないのだろうか。褒めるんじゃなかったと苛々しながら、力任せに箱を潰す。が、美しいパールホワイトに折り目が入ってしまい、取り返しの付かないことをしてしまった気分になった。  壁時計は五時半を示している。思っていたより早く終わったのはよかったが、進展はないに等しい。  企画書をめくってみるが、やはり平凡な企画としか言いようがなかった。こんなもののコンセプトに時間を掛けようとするくらいだから、アダルトグッズのパッケージにも妥協できなかったのかもしれない。本業のデザイナーではないのだろう。     
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