7/30

690人が本棚に入れています
本棚に追加
/249ページ
 彼の手が俺の背を滑り、肩甲骨をなぞった。くすぐったさに身を捩ると、胴の太さを確かめるような手つきで脇腹を撫でられる。  大きなふたつの手が、大きく開いたウエストをかいくぐって臀部を撫でた。 「ちょ……っと、やめてください……」 「オス? メス?」 「は!?」  逃げようと腰を浮かせた拍子に、下着をずり下ろされそうになる。びっくりして腰を下ろせば、今度は脚の間を硬い腿で擦られた。  男の手は下着の小ささを面白がるように、横の紐状の部分を引っ張ったり弾いたりする。何も見えないせいか、この状況に対する危機感は薄い。これから何が起ころうとしているのかということより、俺は小さな下着を知られたことが恥ずかしくて仕方がなかった。 「ア……っ」  下着を思い切り上に引っ張り上げられ、布地が股間にきつく食い込む。そこを妙にやさしげに腿で擦られ、あられもない声が漏れた。 「かわいい声だ。メスだね」  興奮していると分かる声が、正確に耳に吹き込まれる。本当にこの男からは何もかも見えているのかもしれない。この真っ赤になった顔も、潤んだ目も。     
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

690人が本棚に入れています
本棚に追加