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 しかしなぜ高校生がアダルトショップ経営者を知っているのか。話題性やモデルという単語は、うちの会社で手がけるルームウェアに関連するものなのだろうか。そこまで熱心に取り組むような企画か? というのが正直な感想だ。 「……岩崎は、その伽羅さんと話すこともあるのか?」 「まあ顔見知りだから。でもばったり会うことは滅多にない」 「……店がこの辺ってことは、俺もスーツ着てるときに出くわす可能性があるわけだよな。絶対別人だと思わせないとまずいよな……」 「バレねえよ。普段眼鏡だろ」 「いつもはもっとばっちりメイクするのに、あのときは薄かった。ほとんど素顔と変わらなかったじゃないか」 「あほか。目の印象が変われば全体の印象も変わる。あのときはハイライトとシェーディングきつくしてたから、骨格も違って見える。素顔と変わらないっておまえ、図々しいぞ」  明るいライトの下なら、岩崎の言う通り細かな違いが大きな印象の差になるのかもしれない。でも俺が紀谷と顔を合わせたのは闇の中だ。奴は俺の顔が見えていると言ったが、大体の輪郭が分かる程度だったら、小細工しても無駄ではないのか。考えれば考えるほど胃の底が冷えてくる。 「……メイクめちゃくちゃ濃くしてくれ。睫毛もバサバサにすれば同一人物に見えない。ウィッグも変えてくれ」 「同じメイクにしろって言わなかったか? 顔変えるといったい誰だって思われるぞ」     
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