0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
1.遅れてきた少年
少し先の不思議な世界。
これから始まるは、少年少女とA.I.Cが互いに切磋琢磨し交友を結び未来を切り開いていく物語である。
2033年8月某日、千葉県○○市にて高木カナタは走っていた。
「試験集合時間まであと10分。間に合いそうか、トラキチ」
『GPSからのルート情報と君の走行速度から計算すると、あと5分といったところか』
左耳につけていたモノクロ調の片眼鏡に似たARレンズごしから、デフォルメされたアニメ調の虎が声をかけてきた。
この虎は僕のパーソナルA.I.Cであるトラキチだ。
よかった。と少し息を落としたが、走る速度のペースは変えずにいた。
試験会場までまだ距離があったにもかかわらず、試験会場までのバスが突然、エンストを起こしたのだ。
タクシーを頼んでも間に合わず、道行く車もほとんど通らないためヒッチハイクもできなかった。
こうなっては、走るしかないと、トラキチに頼んで会場までの最短ルートを調査してもらい、その道を走っているのだった。
最初のコメントを投稿しよう!