そして、少年はトラキチと夢をみる。

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1.遅れてきた少年 少し先の不思議な世界。 これから始まるは、少年少女とA.I.Cが互いに切磋琢磨し交友を結び未来を切り開いていく物語である。 2033年8月某日、千葉県○○市にて高木カナタは走っていた。 「試験集合時間まであと10分。間に合いそうか、トラキチ」 『GPSからのルート情報と君の走行速度から計算すると、あと5分といったところか』 左耳につけていたモノクロ調の片眼鏡に似たARレンズごしから、デフォルメされたアニメ調の虎が声をかけてきた。 この虎は僕のパーソナルA.I.Cであるトラキチだ。 よかった。と少し息を落としたが、走る速度のペースは変えずにいた。 試験会場までまだ距離があったにもかかわらず、試験会場までのバスが突然、エンストを起こしたのだ。 タクシーを頼んでも間に合わず、道行く車もほとんど通らないためヒッチハイクもできなかった。 こうなっては、走るしかないと、トラキチに頼んで会場までの最短ルートを調査してもらい、その道を走っているのだった。     
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