そして、少年はトラキチと夢をみる。

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『だからいったのだよ、カナタ。いくら外せない用事があったとしても。もう少し早く出発するべきだって。今日は君にとって大切な試験だってわかっているのかい。普段からももう少し余裕を持って行動する習慣をだね……』 「わかっているさ、トラキチ。まったく君は俺の母さんか」 『わかっているなら、良いさ』 「あ、見えてきたぞ。2人とも待っているみたいだ」 息があがりながらも、やっと会場に到着した。 「カナタ~。遅いよ。」 「遅いぞ。カナタ」 試験会場にすでに到着していたジンとアカネが駆け寄ってきた。 「ハアハア、ごめん、ジン、アカネ」 「連絡があったから、間に合うとはわかっていたものの。正直、肝が冷えそうだったぞ」 ジト目で見ている友人に対して、息を整えながらあやまった。 「もう。早く試験会場に向かおうよ。集合時間まであと5分しかないのよ」 アカネは、僕とジンの手を引っ張りながら、急がせていた。 「そうだな。急ごう」 僕たち3人は駆け足で会場に向かっていった。 ―――――― 「……はい。高木カナタ、神崎ジン、アカネ・ハートの認証並びに登録パーソナルA.I.Cを確認いたしました。試験開始時間までは、こちらの準備室でA.I.Cを起動した後に待機していてください」 ありがとうございます、と試験受付のお姉さんに礼を言いながら、準備室へ進んだ。 「それにしても今回の試験は『缶蹴り』か。小学生の頃には遊んでいたけど中学生にもなってもやるとはな」     
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