そして、少年はトラキチと夢をみる。

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3.アグルヘイム・イデア・コンタクト 「ヒトはA.I.Cとともに互いを理解し合うべきだ」 2020年某日、自己学習型AI『アイダ』及び可変型ガジェットクローン『クレイ』を発明した若き天才科学者、奏上アキラは自身の研究『アグルヘイム・イデア・コンタクト』、通称『A.I.C』の発表の場でこう提言した。 2010年代から、急激な発達をした、学習型AIはその能力をもってして、金融、医療、商流、工業といったあらゆる産業分野を発展させていた。 医療の誤診率は減少し、人々は手軽に金融資産を扱えるようになり、企業は自分たちの求める人材を獲得しやすくなっていた。 しかしながら、学習型AIは、統計や診断の機能では役に立ってはいたが、それ以上の進捗が見られなくなってしまっていた。 また、データありきの行動は、データに弾かれたものを排除する情勢や勢力の一助となってしまった。 データ自体を歪めたり、データとAIを悪用することで、悪意をもって人を傷つけるものも現れた。 本来、人々を豊かにするために使われるはずだったのものが、皮肉にも社会からの孤立を促してしまっていたのだ。     
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