私の十八の夏が終わった頃

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私の十八の夏が終わった頃

 その年の夏は、九月を過ぎても暑かった。  私の渾身の台本は澤を困惑させ、目崎の頭を悩ませ、仲間達から驚くほどの質問の嵐を呼び寄せた。ただ優子は今までにないほど目を輝かせて、全員に力説していた。 「あの富浦のババアが認めたんだぜ、やろうよ、やれるやれる出来るって!」  それから毎日の稽古はあまり激しかったので、正直覚えていない。ただ私達はよく泣いてよく怒ってよく笑い合っていた。それだけは確かに覚えている。
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