11人が本棚に入れています
本棚に追加
『鳥たちへ』 P30元原稿
雀、むせて泣いている。
鴻巣 「あんた、いい加減にしなさい!女郎にもなれないなら、そこらでくたばりな!」
鴻巣、雀を追い出す。寒さに震える雀。
廉太郎、下手より登場。雀に手を伸ばす。
廉太郎 「お嬢さん、どうしました?」
雀 「わたし、何も出来ないんです。だから帰る家もないんです…」
廉太郎、手を差し出すが、雀は首を横に振る。苦笑する廉太郎。
廉太郎 「困ったなあ。見過ごすわけにもいかない。じゃあ、せめてこれっぽっちですが…。」
廉太郎、胸元からチョコを取り出す。
廉太郎 「友人に米兵さんがいてね、少し分けてもらったんだ。」
雀 「私、お金も身体も、何もありません。」
廉太郎 「そういうことじゃないんだよ。困っている人を見過ごせないんだ。じゃあ。」
雀、チョコを一口かじる。泣き出す。
雀 「美味しい、美味しい…!」
廉太郎 「ほら、たまには人の優しさに甘えてみてくださいな。寒いから行きましょう。」
雀(胸中) 「私には夢も希望もなかった。戦争は私の大切なものを奪っていった。それでも、今私は生きている。
じゃあ、どうすればいい?何をすればいい?」
廉太郎 「雀さん。僕はね、子どもたちに今こそ自由な夢を見てもらいたいんだ。だから僕は学校を作るよ。」
雀 「廉太郎さんなら必ずできるわ。私、応援する!」
廉太郎 「それなら早速、雀さんに音楽の先生を頼みたい。君の歌なら子どもたちが平和の心を歌で学んでいけるはずだ。」
雀 「分かりました。私、頑張る!」
廉太郎 「仲間が必要だ。雀さん、力を貸しててくれ!」
雀 「私の夢、分かったわ。私はみんなの夢を助けたい!この歌声で助けたい!ありがとう!」
十六夜 「雀、子どもたちを、私の夢の分まで大きくしてくれ!」
定子 「雀ちゃんならきっと出来るわ!」
絹代 「素敵な学校にしてね!」
風美 「みんなの分までよろしくね!」
雀 「うん!私、頑張る!みんな!ありがとう!!」
(全員歌唱)
終わり
以上を全てカット
最初のコメントを投稿しよう!