『鳥たちへ』 P30元原稿

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『鳥たちへ』 P30元原稿

雀、むせて泣いている。 鴻巣   「あんた、いい加減にしなさい!女郎にもなれないなら、そこらでくたばりな!」 鴻巣、雀を追い出す。寒さに震える雀。 廉太郎、下手より登場。雀に手を伸ばす。 廉太郎   「お嬢さん、どうしました?」 雀   「わたし、何も出来ないんです。だから帰る家もないんです…」 廉太郎、手を差し出すが、雀は首を横に振る。苦笑する廉太郎。 廉太郎   「困ったなあ。見過ごすわけにもいかない。じゃあ、せめてこれっぽっちですが…。」 廉太郎、胸元からチョコを取り出す。 廉太郎   「友人に米兵さんがいてね、少し分けてもらったんだ。」 雀   「私、お金も身体も、何もありません。」 廉太郎   「そういうことじゃないんだよ。困っている人を見過ごせないんだ。じゃあ。」 雀、チョコを一口かじる。泣き出す。 雀   「美味しい、美味しい…!」 廉太郎   「ほら、たまには人の優しさに甘えてみてくださいな。寒いから行きましょう。」 雀(胸中)   「私には夢も希望もなかった。戦争は私の大切なものを奪っていった。それでも、今私は生きている。 じゃあ、どうすればいい?何をすればいい?」 廉太郎   「雀さん。僕はね、子どもたちに今こそ自由な夢を見てもらいたいんだ。だから僕は学校を作るよ。」 雀   「廉太郎さんなら必ずできるわ。私、応援する!」 廉太郎   「それなら早速、雀さんに音楽の先生を頼みたい。君の歌なら子どもたちが平和の心を歌で学んでいけるはずだ。」 雀   「分かりました。私、頑張る!」 廉太郎   「仲間が必要だ。雀さん、力を貸しててくれ!」 雀   「私の夢、分かったわ。私はみんなの夢を助けたい!この歌声で助けたい!ありがとう!」 十六夜   「雀、子どもたちを、私の夢の分まで大きくしてくれ!」 定子   「雀ちゃんならきっと出来るわ!」 絹代   「素敵な学校にしてね!」 風美   「みんなの分までよろしくね!」 雀   「うん!私、頑張る!みんな!ありがとう!!」 (全員歌唱) 終わり 以上を全てカット
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