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『初めまして。何故かあなたの書き込みに惹かれたのでメッセージしました。良かったらお返事ください。』
当たり障りのない、定型文のようなメッセージを送った。それ以上書くことがなかったのが本音だ。
返事が来るのが少し怖く感じ、このままスルーされたらいいのに…なんて思っていたら、返事が来た。
「初めまして。絛です。メッセージありがとうございます。何か抱えてる事、話してみたい事、聞いて欲しい事、ありますか?」
彼の詳しい自己紹介や、相手を探るような質問は無かった。
でも核心を突かれた。
そう、わたしには聞いて欲しい事が山のようにあるのだ。変わらない日々、変われない自分。積み重なっていくもやもや。
それを知っていたかのように言われ、堰を切ったようにメッセージに書き連ねたのだった。
送ったあと、かなりの長文になってしまっていたことに気が付き、お詫びした。
すると彼からこんなメッセージが届いた。
「直接、お話してみませんか?」
どうしよう…。
結婚して以来、旦那以外の男性と関わる事を避けてた。やましい気持ちがないとしても気が引ける。
悩んでいると、また一通届いた。
「変わりたいんだよね?変えたいんだよね?僕がその背中を押してあげるよ。」
ーーーーー 変わりたい!!!!
その一心だった。
彼と通話したからって、何か変わるかどうかわからない。でも一歩踏み出さないと、何も変わらない。
いつもと違うことがしたい…
『も、もしもし。』
「初めまして、絛です。」
柔らかな声の人だ。高すぎず、低すぎず、耳に響く。心地いいトーン。
一気に惹きつけられた。不思議。
あの書き込みにしろ、メッセージにしろ、声にしろ、なにかと私を惹きつける。なんなんだろう。
安心した私は、メッセージで送った事をまた最初から話し始めた。
さっきと違うのは、話す節々に「うん。」って相槌が入ること。
ちゃんと聞いてもらえたのいつぶりだろう。
とめどなく溢れてくる思いを、彼は遮る事なく全部聞いてくれたのだった。
全部吐き出してスッキリした私は、彼に言った。
『ありがとう。』
ふと窓から見上げた空は、今の私の心のように、青く晴れ渡っている。そしてこの空の向こうに、私の心を晴らしてくれた人がいる事をとても嬉しく思った。
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