1

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「好き……」  猫屋敷の時が止まった。そんな彼に、虎谷は自分の本心を、ゆっくりとひも解いていく。 「私も、好き……。余命100文字はウソ。でも好きなのは、ホント…。最初は弟みたいにしか思ってなかった。でもいつからか、自分でも認めたくなかったんだけど、なんか違う気持ちが混じってきて……。あーもう、悔しいなぁ」  怒涛の急展開に、もはやお互いを直視できない。 「……先輩、ホントに、ホントですか……」 「……うん……。ホントに、ホント……」  かろうじて絞り出す声。 「だったらまだ、死ぬわけには、いきません、ね……」 「うん、勝手に死んだら、許さないから……」  二人の新たな時間が、動き出していく……。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加