トレーダー少年の空

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 北条巧は高校生にしてトレーダーをしていた。彼の通う私立の学校の学費はその利益で払っている。  周りの高校生が親の金で学校に通う中、巧は浮いていた。親はまったく巧の教育に興味が無かったし、関わろうともしなかった。  もちろん、友達もできない。だが、そんなことには巧は興味がなかった。  ただ、ひたすら金を稼ぐ。それが彼の人生の全てだ。  初めて株式のトレードに興味を持ったのが小学四年生の時の社会の授業の時。  先生の説明する株式会社の説明に取りつかれた。  株式が売り買いされ、その価値次第で値段が変わる。そんな不思議な物があるのかと衝撃だった。それまでの彼の常識を覆した。  それ以来、株式について勉強し情報を集めまくった。幸い彼の祖父が毎日新聞を取っていたので各社の株式が日々変わっていく様子を見る機会があった。  本格的にトレーダーの世界に踏み込んだのは中学一年生の時だった。親に頼み込んで口座を作り、それまで貯めていたお年玉とお小遣いを使ってひとつの株を買ってみた。それはマイナーだが自分が好きなゲーム会社の株だった。
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