雪の積もらない街

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 会話の内容は簡単なものだったが、星について話していたことを覚えていた。  その後、一年関わり続けた。そんな彼女に対する俺の感情は「友達」だった。  理由は簡単だ。俺は誰かを好きになることができない。  語弊があるかもしれないので言い換えると、誰かを恋愛的に好きになることができない。  俺は愛や恋を信じていない。世の中にありふれているその言葉たちは、幻の存在であると思う。愛すると言っても、恋していると言っても、人は裏切る。自分の親を見ていればそれくらいのことは理解することができた。  俺から言わせてもらえれば愛だの恋だのという言葉は裏切りの一歩目で、とても信頼なんてできるような言葉じゃなかった。  きっと、彼女が今、俺に向けてくれてるものはそんなもので。そんなものだとしか思えなくて。  だけど、自分が初めて向けられたと言ってもいいその好意という感情に、もしかしたら本物もあるのかもしれないと。  もしも、それがあるのなら、知ることができるならと、希望を持ってしまった俺は……。  「よろしくね」  彼女が笑顔を向ける。暗闇の中でもそれが分かった。  俺がどんな表情をしていたかは、彼女しか知らないことだった。     
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