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昭和五十年代 四国
昭和五十年代、愛媛県の山間部に私、藤本恵理子はいた。
普段は松山にある、女子大に通う二十歳。
父は、愛媛県警察本部に勤務する、本部長の警察官。ほとんど家にいない。
母は、滅多に家に帰ってこない父に寂しさを覚え、愛想をつかしたのか、いつの間にか男性が出来ていた。
私ももう二十歳。
親の事には、いちいち口出ししない。母の事は、どこか軽蔑の目で見ていたが、冷めた目でも見ていた。
私はもう大人だし、二人が離婚してしまったらどうしようもない、仕方がないと、どこか心で割り切っていた。
私は松山から、姉の嫁ぎ先のこの農家へやって来た。姉の嫁ぎ先の農家は所謂、お米の栽培をしている。
愛媛県産コシヒカリだ。
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