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「あらあら、ごめん。僕にも非があるな。」
店長が珈琲を私にすっと差し出しながら申し訳なさそうに笑った
「いいんです。私は聞いてもらって毎回救われていますから。」
その珈琲をトレイに乗せて真斗の前に置く
彼は小さく「ありがとう」と言いながら 顔にカップを近づけ 香りを味わった後
口を付けた
「マスターの珈琲は本当に癒されるけど、マスターの聞き上手にもかなり癒されます。」
真斗がカップを顔の前に上げて言うと
「ははっ、ありがとう。こんなオジさんでも役に立てて嬉しいよ」
店長は、楽しそうに笑い
もう一つ珈琲が入ったカップを私に渡した
「え、店長?珈琲一つしか注文入ってないですけど?」
書き間違えたかと焦って伝票を見るが
やっぱり一つしか注文していない
「今日は、暇そうだから 彼と少し珈琲飲んでいいよ。」
「え?」
店長の優しさのせいで
珈琲の良い香りが 急に強まったような気がする
「それに、花ちゃん 眠そうだから」
……げ。
朝起きて、メイクで必死に隠した目の下のクマを慌てて抑えた
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