唯一の男

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「お客様、当店で暴力はお控え下さい。」 私の顔を平手打ちする音の代わりに響いたのは 店長の優しくて低い声 その声に 堅く瞑っていた目を開けると いつのまに……? 店長がカウンターから出て彼女の振り上げた手を掴んでいる 女性は恥ずかしそうに顔を歪めたかと思うと バッと、手を振りほどき 立ち去ろうと 足を進めたところで 店長は続けて声をかけた 「あと、彼女は当店の大事なスタッフです。先程のような暴言を撤回して下さい。」 え?! まさか、そんな事を言ってもらえるとは思わなかった私は店長を凝視すると 店長はいつもとは違い 真っ直ぐ睨むように彼女を見ていた
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