唯一の男

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「おい、俺の店で暴れるなら まず俺を倒せ」 ……怖っ。 店主の凄む顔に一同静かになる そりゃあ、倒すなんて無理だろう 「すっ、すみませんでした。お…お勘定お願いします…」 彼は急に背筋を伸ばすと荷物を持って さっさと帰って行った 「大丈夫か?」 真斗の声でハッとする 「あぁ、うん。大丈夫…。」 「ったく、あの男 最低だな。」 苛つきながら、隣で真斗が私に差し出されたオレンジ色のドリンクに口をつけた 「ぶはっ、何だこれ!?やたら、アルコール高いわ。焼酎か何か足してるぞ?」 ……私に飲ませてどうするつもりだったのか 考えただけで ゾッとする 「結海ちゃん、大丈夫?すぐに気付けなくてごめんね」 顔を上げると さっきとは真逆の情けない顔で私に謝る店主の顔があった 「いえ、あの…ありがとうございました!」 「結海ちゃんに何かしたら、殺すから」 なんか、あなたが言うとシャレになりません…。 苦笑いで返すと 今度は私にウーロン茶をくれた 「これは、お詫び。お酒ばっかりだと良くないから最後はウーロン茶ね。」 「ありがとうございます。」 頭を下げ、ちょうど乾き始めた喉にウーロン茶を流し込む 「あ、間違えた!」 ……? 「ごめん、そっちウーロンハイだ…。」 店長の反対の手に、本物のウーロン茶があって 渡し間違えたらしい
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