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「ううん、なんでもない。」
「そう?」
男は、そう言うと
目の前に数枚の紙幣を置いた
「え?」
彼を見上げると
「やっぱり、今日で会うの止めにしよう。俺、来月 結婚するんだ。」
……。
「今まで、ありがとう。花と出会えて楽しかった」
何、それ。
シモの世話してくれて、ありがとうって事?
私は風俗嬢か?
そりゃあ、セックスしかしないもの
出会えて楽しいわよね
怒りなのか
悲しみなのか
感情が入り乱れ過ぎて
手が震える
その姿が
この、ろくでもない勘違い男には
フラれてショックを受けているように見えたのだろう
言葉の出ない私の頭をポンと撫でた彼は
私に軽くキスをすると
「どうしても、眠れない日があったら連絡してもいいよ」
そんな、ありえない台詞まで置いて
部屋を出て行った
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