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人々が見守る中、私は悠然と円状の壇上へと向かっていく。一段ずつ階段を踏みしめる。
抜いてやろうじゃないか。この私が、勇者の聖剣を。この私以外だれがふさわしい?
そう思いつつも少しの不安。私に抜けるだろうか?
いや迷うな、迷いは闇につけこまれる元だ。
抜ける、抜ける。念じ続けた。
そして触れる金の柄。ひやりと冷たい柄を握りこむ。思いっきり引き抜いた。岩から抜ける聖剣。
はは・・・・。やっぱり私が勇者だ。
私は高々と聖剣を頭上に持ち上げた。
歓声が起きる。
「アーランド・スレイ様、貴公をお待ちしておりました」
壇上の下にいたこの国の宰相が私にちかずいてきた。
「あなたの要望はこのガーデツが叶えましょう。ただ魔王は討伐していただきたい。この国のために!」
「もちろんです。このアーランド・スレイ、命をとして魔王を討ち果たしましょう」
口が緩むのが止められない。早くこの場を離れなければ。
しかし私は聖剣の勇者、ここで笑うくらいいいだろうと考えなおした。
「フフフ、私はこの国の人々のために魔王を打つ!フハハハハハ、皆の者、私に従え!」
歓声は地面が揺れるほどに響いた。
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