非凡な者

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クスクスという笑いが止まらない。あれから王の間に招かれこの国のガージニル王に話しかけられこの国を頼むといわれた。 連絡手段はあちらから渡された魔法の手鏡。あちらからもこちらが見えるがこちらからもあちらが見える。いつもは皮の袋にしまっておこう。 いくら勇者といっても一日中監視されてはかなわない。 もうすぐ、勇者誕生の大パーティーが開かれる。 わくわくして一杯ひっかけたくなった。 酒場へ入る。私の服は白と銀糸を基調としている。そして私の自慢は鳥の羽で作った白いマント。これを見れば私の通り名、鳥の王と分かるだろう。 そして今はそれに勇者という称号が加わった。 私はテーブル席をよけてカウンターに座る。ちょっとぼろいが仕方ないだろう。魔王討伐に出たらもっとひどくなることだってあるかもしれない。 「ワインを一杯お願いする」 カウンターの男性が私の前にワインを置く。ジョッキに入ったワインをわたしはごくごくと飲んだ。 ほろ酔いで気分がいい。 「フフフフフッ」 私はまた笑いが止まらなくなっていた。 私が聖剣の勇者。 早くこの聖剣の力を試してみたい。誰か私に逆らうものはいないか? ちらりと後ろをうかがう私の視界にあの夜の老人が映った。あの夜の・・・カシルと言ったか。ついている。この聖剣があればあの男も私に逆らえまい。何せ私は勇者なのだから。くすくすと笑いが止められない。私は残りのワインを飲み干すと立ち上がった。高いカウンター席から降りるときにごろつきらしき男たちとぶつかった。私の神経にチリっと触った。男たちは「どけっ」っと一言おいて去ろうとする。私の神経がちりちりと音を立てる。
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