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王の間
アーランド・スレイ。彼から連絡があった。街をごろつきのために壊してしまった。魔物のせいにでもしといてくれと。
私は快諾した。街のごろつきのためにせっかく現れた聖剣の勇者の名を汚すわけにいかなかったのだ。しかし、街のものが・・・。
私は王の玉座の前で頭を悩ませた。
「オルランド王。アーランドはとてつもなく危険です。なぜあのようなものが勇者の聖剣を抜いたのか」
「初めはそなたも認めたのであろう」
厳かに告げる王に私はさらに苦悩した。民のため国のためひいては世界のために勇者を待った。それがこのようなことになるとは。
アーランド・スレイ。森の街クルトからきた侯爵。初めて見たとき、このもの以上に勇者にふさわしいものはいないのではと思った。
事実彼は勇者の聖剣を抜いた。金髪碧眼の貴公子。鳥の王。彼は鳥に愛され、鳥を従える。クルトの街では数多の魔物を屠ってきた英雄だ。
そして、この国にとっても英雄になると思っていた。しかし・・・。
「昨日の蛮行。もはや勇者と言えるのか」
「何があった?」
王に聞かれ私の諜報員の情報を漏らさず伝えた。酒場で争いになった何の力もないと等しい男たちを何のためらいもなく殺したこと。街を一部破壊して民を殺したこと。それを
私に魔物のせいにしろといってきたこと。
「いいではないか。ただのごろつきだ」
王は気にもとめてないようだった。それが私をさらに悩ませた。
「あのもののストッパーが必要です。誰かあのものと互角に渡り合えるものが」
しかし、勇者と互角に渡り合えるものが果たしているのか。
私はどうしたらいいか考えねばなるまい。この国の宰相として。
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