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思い出して、逆に腹立たしくなってくる。
私って一応恋人なのに、日記に長々としたためたくなるほど重荷な存在だったんだな。ていうか、何か悩んでるなら一言言ってくれたらよかったのに。ていうか、悩んでるのは私の方なんですけど。
ムカムカして、つい言うつもりのなかった言葉を叫んでしまった。
「……もうー! あんたがずっと私のことでウジウジしてるから、いっそと思ってあんたの前から消えてやったんじゃない!」
それは五丁目まで響き渡るかというほどの大声だった。
妙な気配にはっとして振り返る。
見上げると、頭上に山田さんが浮いていた。
「自殺なんですね?」
「あ! いや……」
「虚偽の申告は研修期間が延びますよ」
山田さんが空中で履歴書を書き直し始める。
私はそれを見て思わず康之に殴りかかったが、やはりその手はすり抜けてしまった。
「もうー! 康之のクソ野郎! 結局私、地獄行きに……」
そこまで叫んだところで、視界は暗転した。
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