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「なにこれ! りっちゃんが二人!?」
「いや、こっちの私は幽霊だから。本体の方は死んだから」
「死んだの!? りっちゃんが!?」
「そう。……いや、違うわ。……殺したのよ! あんたが私を!」
「殺したの!? 僕が!?」
完全なる濡れ衣だったが、康之はパニック状態だ。どうにか言いくるめられるような気がした。
ちょうど山田さんが空の果てからやってきた。別件が片付いたらしい。
「どうかしましたか?」
康之は、突如空から降りてきたサラリーマンを見てさらにパニックになった。
「え!? 飛んでる!? 誰!?」
「あ、あなた霊感ある人なんですね。はじめまして。私、このたびお亡くなりになりました理央さんを担当させていただく、天国株式会社業務部保険給付課のマネージャー山田太郎と申します」
康之は山田さんの差し出す名刺をいただこうとしたが、その手はすり抜けてしまった。幽霊同士じゃないのだから当たり前だ。
私はここぞとばかりに弁明を始めた。
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