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「薫、お前はこれからどうしたいんだ?義務教育はあと一年残ってはいるが、行きたくないなら行く必要はない」
「えっ、お父さん、義務教育って受ける義務があるんじゃないの?」
胸を譲られる権利を巡って論争していた穂香が会話に入って来ました。
「穂香、親には義務教育を受けさせる義務があるけど、僕達には受けなくちゃいけない義務はないんだよ」
誤解している人は多いけど、義務が生じるのは保護者だけで子供には義務は発生しないのです。
「薫、よく知っていたな」
「ネットで色々と勉強したから」
役に立つか立たないかは別として、色んな事を覚える事が出来ました。
「正直、薫は働く必要がない程に稼いでしまったわけだが。父さん、落ち込みそうだぞ。三年で父さんの生涯賃金超える額を稼がれたからな」
「お兄ちゃん、一体何をやったらそんなに稼げるのよ!」
貯まっていたお小遣いを使っての投資が主なんだけどね。運が良かったということかな。
「外見の変化で怖さがぶっ飛んだけど、三年も人に会っていなかったからね。少しづつ人に慣れていくよ」
将来の事よりも、まずは外に出られるようになるのが優先だと思う。
「何はともあれ、薫が出てきてくれて嬉しいわ。薫、おめでとう!」
こうして、僕の大冒険は終わった。予想外の事態で驚いたけど、僕は一歩目を踏み出した。
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