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僕、人生の節目を迎えます
これまでに幾多の有名なアーティストが立ってきたコンサートホール。開演までまだ時間があるにも拘わらず、入場待ちの人が作る列が長く延びていた。
「本当に、遠くまで来たものだなぁ」
「あら、今更それを言うの?」
思わず漏らした言葉に、隣に立つ女性が答えた。今更、そう言われたらそうなんだけどね。
「だってねぇ、僕は三年間も引きこもっていたんだよ?それなのにこんな大舞台に立つなんて、夢にも思わなかったんだよ」
そう、僕はコンサートを見に来た訳ではない。逆に見られに来た。
「カオルちゃんは可愛いもの。マネージャーになったその時から、絶対に売れっ子になると思ったわ」
「長門さん、会った瞬間に抱き着いて来ましたよねぇ。窒息するかと思いましたよ」
長門さんはFカップという立派な武器の持ち主。そんな彼女が全力で抱きしめた場合、背の低い僕は顔が凶器に埋もれて息が出来なくなる。
「たってねぇ、好みのど真ん中の娘を見て抑えが効かなかったのよ。担当する新人は男と思っていたから、余計に嬉しくてね」
まどかさんは百合属性でロリ気味という、困った性癖を持っている。
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