第1話

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〇もとの図書室 美空「師匠の次はお兄ちゃん!? どんだけ女にするんだよヴァンパイア! てか、イラ ストやばい! ロート兄さん素敵すぎだって!」    悶える美空。足をバタバタ。 美空「ヴァンリ最高かよ! キャーーーー!」 勝司「いい加減にしろ」    と、ポンと頭を叩かれる。 美空「(さすりつつ)勝司君……」    そこにいるのは、本橋勝司(13歳)である。 勝司「いつまで騒いでんだ美空」 美空「だってこれ新刊だから……」 勝司「それでもここは図書室だ。ちょっとは周りに気を配れ」 美空「周りと言われても」    と、周りを見渡す。    美空と勝司以外に人はない……。 美空「今って、授業中だっけ」 勝司「……いや、放課後だ。だから俺たち図書委員がいる」 美空「利用者ゼロじゃ、委員なんていいんじゃない?」 勝司「それは……そうかもしれんが」 美空「じゃあ私、続き読むから。誰かが来たら教えてね」 勝司「待て、美空! ……俺にも読ませろ!」    無視して本を開く美空。    すぐさま、本の世界に入り込み―― 美空「(顔がゆるんで)へへへ……」 〇同・職員室    並ぶデスク。    部活動の時間なので、あまり教師はいない。 陽菜「失礼します」    と、扉が開いて、小林陽菜(14歳)が来る。    向かうのは、国語の担当、佐藤(30代前半)の元。 陽菜「佐藤先生、図書室のカギです」 佐藤「あら? もう閉めちゃうの図書室」 陽菜「いえ。カギは開けたらすぐに返却する決まりになっているので」 佐藤「(笑って)そんなの良いのに」 陽菜「そういうわけにはいきません」 佐藤「小林さんは律儀ね。だから、こういう紙が来るのかしら」    佐藤のデスクに、謎の便箋。 陽菜「?」 佐藤「図書室のほうはどう?」 陽菜「相変わらず。図書委員しかいません」 佐藤「例の図書館の影響ね。よし。ならば、あなたにこれを授けます」    便箋だ。受け取る陽菜。 陽菜「これは?」 佐藤「招待状よ」 陽菜「招待状?」 佐藤「ミーミル図書館から、親愛なる汐里学園図書委員会へ」 陽菜「(読む)書痴交流会?」    便箋改め招待状からは、眩い光の粒子が溢れていて――
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