第1話

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〇同・図書室    まだ、美空が本を読んでいる。 美空「へっへっへ……」    先程よりもヒートアップしている。    隣では、いやそうな勝司。 美空「へへへへ……。げへへ」 勝司「うるさい……!」 竹之内「こんちは」    扉が開いて、竹之内(14歳・ガラの悪い感じ)が来る。 勝司「ほら、来たぞ美空!」 美空「ん?」    竹之内、本棚へ向かう。 美空「うわ、やっとだね」 勝司「本日初の利用者だぜ。これもミーミルの影響だな」 美空「ミーミルって、ミーミル図書館のこと?」 勝司「業界初の大型チェーン。図書館には珍しいよな。厳選に厳選を重ねた本当に面白い 本しか置いてないって噂だぜ」 美空「本当に面白い?」 勝司「ああ。誰もが知る傑作から隠れた名作まで」 美空「それじゃ、学校の図書室なんかいらなくなっちゃうね」 勝司「そこまで言わんでも……」 竹之内「ちょっといいか」 勝司「はい?」 竹之内「ここにあるラノベって、あれだけ?」    指差す竹之内。    本棚のラノベコーナー。数冊、申し訳程度にしか置いていない。 勝司「あー。あそこにあるだけですね」 竹之内「なんだよつまんないな。ミーミルならめっちゃあるのに。そうか、だから誰もい ないんだな」 勝司「な……!」    カチンときている勝司。    美空は苦笑いである。 竹之内「……あれ。なんだあるじゃん」    ハッと、手に取る竹之内。    美空のヴァンパイアハンター・リンである。 美空「これはダメです!」    バッと取り返す美空。 竹之内「いいじゃん貸してよ。お前、図書委員だろ」 美空「ダメですって!」 竹之内「なんだよケチ。見せられないものでも入ってんのか?」 勝司「入ってるというか、書かれてるというか……」 美空「書かれてません! この本は上級者向けなんです!」 勝司「確かに上級者向けだ」 美空「勝司くん、しー! しー!」    と、必死の美空。 竹之内「……へぇ、男が女に変身するのか」 美空「!?」    竹之内、スマホを見ている。
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