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「おーい、ちゅっぺらー」
ちゅっぺらとはあのシバイヌにつけたナマエである。
昔の人は自分の子供につけるように
全く違う種族にもかかわらず一緒に暮らす、もしくは自分が知り合っただけで
ナマエを勝手につけていたらしいので、それにあやかって
僕もあいつにナマエをつけた。
するとどうだろう。あいつを思い出すことはとても簡単になったし、
あいつのことを可愛いやつと思うようになった。
おそらく、友達にあだ名をつけるような感覚なのだろう。
多分あいつにも、産んでくれた親からもらった大切な名前が
きっとあったのだろう。きっとあるのだろう。
だけど、僕も昔の人もそれを知らないからナマエをつけたんだ。
あだ名をつけるような感覚で。
[△○△○△○]
「おっ、いたいた。」
あいつが、舌をずっと自慢げに見せびらかしているあいつが、
僕がちゅっぺらと勝手にナマエをつけたシバイヌだ。
[□☆□☆]
「まぁまぁそんな叫ぶな。何かいいことでもあったか?」
[□☆]
「ははっ、よかったな。」
これは別に僕がこいつの言ってることをわかっているわけではない。
かといって、適当に返事をしているわけではない。
携帯多機能板を忘れた時、隣の緑人とまともに話すことはできなくなる時もあるが、
別にまともに話せていないという感覚もない。
なんとなくで話せているのだ。そう思い込んでいるだけだが。
ただ、こいつは返事をする。
先生に指されて生徒が「わかりません!」と答えるように、
こいつも返事をしてくれる。
だから、こいつといるのはとても楽しいし、
そんな不器用な感じはとても可愛らしいのだ。
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