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何度も何度も繰り返し死に返した少女は、人の生きるべき環を外れてもそれでもなお、人間であろうとしている。
『私と警部殿。この地獄を生きた人間の共通点はなーんだ』
渚姉はまるで自分とケイは同じ穴の狢とでも言うように言っていたが、日葵は違うと思う。
渚姉は正しく死のうとしている。
ケイは正しく生きようとしている。
それは一見同じように見えて、全く違う。
「・・・そうだよね。人間、なんだよね」
日葵はケイの言葉をゆっくり咀嚼してかみ砕いて抱きしめるように笑った。
「私、人間だ」
死んでも、人間は人間でしかいられない。私は、私でしかいられない。
ケイにはなれないし、ましてや、渚姉にもなれない。
「それも当たり前だろ」
「えへへ、そうだね。当たり前だね」
渚姉ともケイとも違う日葵は、日葵なりの答えを見つけなければならない。
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