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「ケイいぃいいぃい! ケイ~どこ~!?」
「馬鹿日葵。今休憩時間じゃねえぞ」
「あっケイぃ」
日葵は石を積みながらカニの如く移動する高度な技術を会得した。ケイの姿を見つけてぱあっと顔を輝かせる。
「良かったぁ。捜したよっ! 勝手にいなくなっちゃダメじゃない!」
めっ、とでも言いそうなテンションでまるで幼子に言いかけるが如く喋る日葵にケイは虚ろな目を向けた。
「・・・悪ぃ」
「・・・・・・」
ケイらしくもないしおらしい態度に毒気を抜かれた日葵はちょこんと可愛らしく首を傾げる。
「どうしたの? ケイ」
「いや? 別に何も?」
「何もなんてことはないでしょ? だって・・・ほら、なんか・・・、なんか変だし!」
今のケイをあらわす適切な台詞回しが思いつかなかった日葵はぐっと力を込めてなんか変を繰り返してみた。
なんか変ではなんか変以上のおかしさは伝わらないので補足すると、ケイは何故だかは不明だが壊れた子供の頭の上に乗っていた。それだけでも異常さは十分伝わるがさらには鬼の金棒を肩に乗せそれもなんだか様になっていて。
一言で言うならばまるで『鬼』のような姿だった。
渚姉の結界技術がなければ間違いなくもう百回は死んでいるだろう。
「別に、私はいつもこうだろ」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや」
「・・・こうなんだよ」
「け、ケイ?」
「私は・・・こうなんだよ」
「・・・・・・」
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