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「てめえと話すことはねえよ」
「じゃあケイは話さなくてもいい。俺の話きかなくてもいい。自己満足の独り言だけ言う」
日葵は蟹歩きでチョコチョコと去って行った。
本当はここら辺一体渚姉が結界を張っているから鬼に見つかりようもないので普通に歩いてもいいと伝えようかとも思ったケイだが、やめておいた。
チョコチョコ歩く日葵の姿が可愛かったからだ。
「俺、デリカシーなかった。サイテーの馬鹿男だった。あ、サイテーっつったら駄目なんだっけ。いや、今はいいのか」
「独り言で自虐ネタか? キモいぜ?」
「そうだな」
ケイは鬼の金棒を握りしめたまま聖を睨んだ。
聖の意志に反して、痛みと恐怖を刻み込まれた身体は勝手に反応する。
「・・・ゴメン」
無意識に一歩後ずさりながら謝罪の言葉を口にした聖をケイはせせら笑った。
「はっ、それは何に対する何のための謝罪だ?」
「・・・ケイに対する、ケイに許してもらうための謝罪だ」
「私は別にお前に向かって怒ってる訳じゃねえ。ただお前が嫌いなだけだ」
「じゃあっ・・・・・ほんと、ごめん」
ケイはムスッと顔を顰めて呟いた。
「語彙力皆無か」
語彙力皆無な聖君は、ただひたすら、謝り続けた。
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