肆  生と死の狭間の少年

40/42
前へ
/260ページ
次へ
「・・・なあ、きいてもいいか?」  必死の謝罪に返るのは妙にぼんやりとした声。 「どうして・・・」  聖を見ていると、ムカつく。  自分が死んだときのことを思い出すから。  不思議と、悲しくも、苦しくもなく、ただ一つの感情に囚われた。  悔しい。  ただどうしようもなく、悔しい。 「謝るくらいならどうして、死んだ方がいいなんて言ったんだ?」 「・・・え?」 「なんでだよ、なあ?」 「・・・・・・」  ケイの強い強い意志を宿した瞳が聖を射抜く。 「生きる意味が、わからなかったから・・・」  聖は、ほとんど条件反射で答えた。嘘偽りのない本音を。 「何のために生きるんだって・・・考えちまったから・・・」  だからケイも本音で応えた。 「じゃあ、死ぬ意味は何だ?」 「え・・・」 「何の為に、死ぬんだ?」  答えはケイにもわからない。  永遠に正解の出ない問いかけだった。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加