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「さて、向日葵ン。君はこの場所で、地獄と言う閉鎖空間で、真っ暗な中、娯楽は一切なく、睡眠さえ許されず、ひたすら石を積み続け、六年間・・・」
「・・・ろくねんかん」
「耐えきれる自信はあるかい?」
「・・・」
「たった、独りぼっちで」
渚姉の話術には、ひたすら感嘆するばかりである。
日葵は血の気のない顔をさらに真っ青にして黙り込んだ。
「警部殿はさぁ、強すぎるんだよ。心がね、強すぎるからさ。誰かに頼ることを、何より自分に甘えをよしとしない」
「・・・ケイは強いよ」
「そう、だけど警部殿だってさ、私たちとそう齢も変わらない女の子なんだよ?」
「・・・」
「幸せになる権利くらい、あるっしょ」
日葵は、訝しげな目で渚姉を見た。
失礼なことを言うようだが、渚姉がケイのことを本気で気遣うことなどちょっとあり得ない気がする。
何かしらの裏があるような気がして、警戒の姿勢を見せる日葵に渚姉は無感情な笑顔を向けた。
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