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さっきまでいたはずの人間がふと目を離した途端いなくなると言うのは体験してみると意外に怖い。
ゾッとする。
基本的に隣に肝っ玉が据わり過ぎている人間、例えるなら水先案内人の誰々さんや警視庁勤務の誰々さんなどがいなければただの小心者であるところの日葵ちゃんは、当然の帰結として泡を喰って渚姉を捜した。
結果、渚姉は見つからなかった。
それどころかケイと聖を見失った。
プラマイマイナスである。
「うわ――――んっ! けいいいい―――――――――っ! どこいったのおおおおおおっ」
マジ泣きしだした日葵に、追い打ちをかけるように響く音。
ガラーン・・・ゴローン・・・ガラーン・・・。
「ひぅっ」
条件反射で座り込み、石を手に取る。
日葵は涙を流しながら石積み作業を始めた。
まるで、壊れた子供のように。
「ケイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイっ!!!」
訂正。
壊れた子供はこんな高らかにケイの名を叫んだりしない。
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