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「きゃっはっは! 順調順調」
三途の川に響き渡る、高笑い。
地獄の水先案内人、汐凪渚はやけに上機嫌に不愉快な笑顔を浮かべていた。
「臨死君単純~」
渚姉がいる場所は、地獄の番人足る刑部ケイでさえ、存在を知る由もない場所。
子供が積むべき石しかないはずの川のほとりになぜか、たった一本。佇む木があった。
もう、生気を持たぬ枯れ木であった。
空間に不釣り合いとも取れるその木はしかし、周りの子供には見えていないようだ。
「ナギナギ、ご機嫌やの」
妙に深く響く耳に心地よい低音が、渚姉の頭上がら降ってきた。
「あ、ゆぅくんやっふ~」
「やっふ~。て、これ毎回言わなあかんのん?」
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