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そんな会話も届くことない枯れ木からはるか遠く、ケイと聖はまだ石を積んでいた。
「なあ、ケイ」
「今度はなんだ」
「次の休憩時間は何して遊ぶ?」
「ガキか!」
ただし、楽しい会話と共に、であるのでいかんせん枯れ木とは別の意味で空間に不釣り合いだった。
「なーなーなにする? 鬼ごっことか!」
「その石積み放棄すりゃいつでもリアル鬼ごっこだよ!」
「そっか!」
「なんで衝撃を受けたみたいな顔してんだよ」
「いやぁ、大変だなぁって思って」
聖は、石を片手にしみじみと言う。
「ケイはこんなこと三年も続けてたのかぁ」
男の自分でも、辛いと思う作業だった。
片手でギリギリ持てるか持てないかの重い石を、自分の座高と変わらぬ高さまで積み上げる。
不毛な作業を繰り返し、積み上げ崩されの繰り返し・・・。
「頑張ったな」
「・・・何様のつもりだ」
せめて労いの言葉を俺だけでもかけてあげよう! と意気込んだ聖の言葉はケイの不機嫌な顔に一蹴されてしまったが。
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