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石を積む。歩く。石を積む。歩く。石を積む。
それを繰り返すばかりの、
ただ不毛な、三年だった。
賽の河原に堕ちる子どもは、大抵『くらやみ』を落ちる段階で半分廃人となる。
たまに現れる話せる相手も、自分の死に気を取られ一部の余裕さえない。
石を積んでは金棒に殴られ、
話しかけては悪口雑言の限りを尽くされる。
地獄。
自分を不幸と嘆くほど、悲劇のヒロイン気質な人間では、ケイはなかったけれども。
何より、
ケイは知らなかった。
望めるほどに、幸せと言う物を。
求めるほどに、愛と言う物を。
知らなかった。
汐凪渚は、恩人と礼を尽くすには向かない人間だったし、思えば、
今、思えば、
今でこそ、思えば、
私は随分、不遇な環境にいたらしい。
ケイはそんなことを思った。
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