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「緊急搬送の患者です! 頭部挫傷、出血多量、危険な状態です!」
痛い・・・痛いよ・・・。
意識が朦朧としていた。なんだかもう訳がわからなかった。
「血圧下がっています!」
誰かが叫んでいるのが聞こえたような気もした。
誰かが泣いているのが聞こえたような気もした。
・・・痛いよ。助けて・・・誰か・・・。
「日葵っひまりぃっ」
お母さん、なんで泣いてるの? なんで私、こんな所にいるの? ドライブの途中だったのに・・・。
「お・・・かぁ・・・さ・・・・・・」
ピーーーーー・・・と室内に響く機械音。
「日葵いいいいいいいいいいいいいいいッ」
お母さんの甲高い叫び声。
それが私の最期の記憶でした。
彭城日葵 二〇一九年四月一日 死亡 享年十五歳。
と、手に書いてあった。
まさか三行越しにト書きが付くとは誰も思わなかっただろうがこのたった一行に収まる文章は今の日葵の全てである。氏名、死亡年月日、享年。
しかしその文章を、たった一行の短い文章を、理解するまでに相当の時間を有した。
中でも目を引くのはたった二文字。
『死亡』
二〇一九年四月一日、死亡。
「・・・・・・・・・・・・わたし・・・死んだの・・・?」
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