壱  彭城日葵 死亡

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「びっくりしたぁ。ケイってばなんであの歌知ってたの?」 「そりゃ隣で四六時中歌ってたら覚えるだろ」 「ふふふっ嬉しいな~マイナーなアニメの二期の主題歌なんか誰も知らないからさ~カラオケでも誰も一緒に歌ってくれなかったんだもん」 「言っとくけどな、あの時だけだぞ。あんな歌詞IQの低い歌うたうなんて・・・」 「ケイってば歌上手いんだもんなぁ」 「絶対に二度と歌わねえからな!」  日葵はケイと並んで砂利道をスキップで散歩していた。誰かが隣にいると気付くだけでこんなにも気分が晴れるものなのか。 「まあ、忘れねえことだ」  ケイは独り言ちるように、 「希望がねえなんて誰も証明できたやつはいない。絶望しかねえなんて誰が決めた」 だけどしっかりと日葵に向かって、 「いつか抜け出すぜ。この地獄から」  やっと見つけた同志に向かって笑顔を向けながら言った。 「それが希望になるから」 「うんっ」  こうして友達となった二人は賽の河原から抜け出すために手を取り合って協力することになるのであった。                                                 
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