壱  彭城日葵 死亡

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「へえ~」 「いやそんな話してる場合かい!」  脱衣姉さんは無表情で軽快なノリツッコミをきめた。  名前の割に厚着でしかも暑そうな耳まで隠れるニット帽までつけた脱衣姉さん。立ってみると日葵よりも少し背が高いけど姉さんと言う割にはそこまでの年齢でもなさそうだ。 「失礼ですが・・・おいくつで?」 「え? 凄いね。自分が死んだって言う衝撃の事実をきいた後で赤の他人であるはずのこのあたしの年齢が気になる? 千飛ばして十七歳だけど」 「十七歳? 私より二つ上かあ・・・ん? あれ? 千飛ばしてって言った?」 「ここじゃ年齢なんて概念は重要じゃないけどね。テキトーだよテキトー。そんなことよりお前じぶんのことだろー」  なんかもう全体的に凄い会話で語り部としてもどうト書きをつければよいのか見当もつかない。と語り部は嘆いた。 「あのねえ。さっきも言ったけどあたし忙しいんだぜ。あんたが珍しーからちょっとかまってやったけどさ。さっさと脱げよ」 「へっ?」 「当たり前でしょー? 脱衣姉さんだぜ? 聞いたことないかい? 脱衣婆ってよくきくでしょ?」 「・・・あー・・・死に装束に着替えるって言う?」 「そっ、まあ死後の世界も最近じゃかなり緩い感じだからさ。白けりゃ装束も何でもオッケーよ。とにかく着替えて。あたし、二代目脱衣婆。イケメン以外を脱がせる趣味はありません」 「はっはずかし・・・」 「恥ずかしいとかどうでもいいんだよ。ホラさっさと着替えろこらあっ」 「きゃあああアッ」  ガッと牙をむき日葵に襲いかかる脱衣姉さんはやはり曲がりなりにも一地獄の住民であった。
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