壱  彭城日葵 死亡

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「なんでええええっ? なんでなのおおおおおっ」 「うっさいうっさい君地獄行き」 「うるさいと同じトーンで地獄行きとか言うのやめてよッ」 「なんでって言った? 君相当な無知だよね。今時の子ってみんなこんな感じなの? 知らないの?」 「知らないよッなんで私が地獄に行かなきゃいけないのっ。私悪いこと何にもしてないよッ」  日葵は生前の出来事を走馬灯のごとく思い返しながら姉さんに激しく抗議した。  そりゃ確かに清廉潔白に生きてきたと断言できるほどの善行は積んでいないにしても地獄に堕ちるほどの悪行も働いていないはずだ。  ごく平凡に生きてきたと断言できるほどには普通の家庭に生まれ普通の人生を送った。 「うんうん。言い訳は結構」 「言い訳じゃないよッ事実だよッ」 「君はすでに大罪を犯している!」 「嘘だッ」 「本当だっ」  姉さんはビシッと日葵の左胸をさして無表情でこう問うてきた。 「君の心の臓が完全に機能を停止した時、ご両親は何をしていましたかっ」 「え? ご両親?」  いきなりの何の脈絡もない質問に戸惑いつつも基本良い人であるところの日葵は生前の出来事を思い返しながらゆっくり答えた。 「私の横で泣いてた・・・かな?」 「そっ。生きてたでしょ? ご両親バリバリにご健在でしょ?」 「うん多分・・・」 「はい、アウトおおおっ」 「えええっ?」
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