壱  彭城日葵 死亡

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 姉さんの読み切れないテンションに戸惑いを隠せない日葵だが、しかしそれでも話の内容はきちんと入ってくるのだからああ見えて姉さん、相当な話し上手なのかもしれない。 「アウトですね。彭城さん」 「なっなんでっ? お母さんとお父さん生きてたらダメなのっ?」 「駄目なんだなこれが。あっそこの自殺志願者の君! 死ぬなら両親と無理心中をお勧めするよ♪」 「やめてよそう言うこと言うのっ。本当に無理心中する人が出て社会問題とかに発展したらどうすんのさッ」 「大丈夫大丈夫。語り部君がちゃんと予防線はっといてくれるから」  ※姉さん個人の感想です。良い子は真似しないでね。尚、本当に無理心中する馬鹿がいても作者は一切責任を負いません。あらかじめご了承ください。 「大丈夫じゃない気がするよぉ・・・」 「無知な君のために説明しといてあげるとだね。いわゆる賽の河原の石積みってやつだよ」 「・・・さいの・・・かわら?」 「三途の川の河原のことを言う。親を残して現世を去った子供の逝く先でね。ガキどもがせっせこせっせこ石を積んでるんだよ。先立つ不孝ってやつさ。親より先に立ち親を悲しませることは大罪とされる。つまり親より先に死んだ子供は無条件で地獄行き」 「・・・・・・」  開いた口が塞がらないを見事に体現してみせる日葵に姉さんはまーまーまーと無表情で慰めるようなことを言った。
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