第一章 殺人未遂ノート

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「ねぇ。『キャット先輩の青春お悩み相談室』って知ってる?」 「何それ。ラジオのお便りコーナー?」 「違うよ。うちの学校の裏サイト的なやつ」 「それって悪口や噂とかが飛び交う掲示板のことじゃないの?」 「普通はね。でも、キャット先輩の青春お悩み相談室は健全な裏サイトだから大丈夫」 「裏サイトが健全……意味わかんないんですけど。どうやって相談するの?」 「サイトに書かれた連絡先に相談内容を送ると、指定された日時と場所が送られてくるんだって。当日そこに行くと、猫の仮面を被ったキャット先輩が青春の悩みを聞いてくれるらしいんだ」 「へえ。なんか都市伝説みたいだね」 「いやいや、キャット先輩は実際にいるんだよ。あるときは親身になって依頼者の心に寄り添い、またあるときは名探偵のように悩みの種を解消してくれるんだってさ」 「ふぅん。その奇特なキャット先輩とやらは誰なの?」 「それがわからないの。猫の仮面を被ってるからね。まぁ性別が男ってことだけは、容姿と声でわかるけど」 「変わり者だね。キャット先輩は何の目的でそんな慈善事業をやってるのかな?」 「それもわからない。何か重大な秘密があるのかもしれないね。あるいは……私たちにとっての部活みたいなものかもよ?」 「部活?」 「もしかすると、生徒の悩みを解決することが、キャット先輩の青春なのかもしれないね」
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