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俺の名前は宇津野圭、ただの一般人だ。身長は168㎝、体重は51kg、痩せてはない。見た目どこにでもいるモブで、特徴も特にない。すぐに顔に出るから嘘が付けない性格だ。若干の人見知りはあるが、友人はいる。つまり、ただの登場人物K!名前なんかいらなかった。
時は昨日に遡る。
私立行進高校の1年生の入学式の時だった。この学校は全校生徒男、つまり男子高だ。
すでに1週間前から寮暮らしが決まっていた圭は、同室になる人物とは仲良くなり安心していた。
同室である友人は、若干人見知りの俺にも優しくて、1週間しか知り合ってないが俺にとってはもう親友も同然になった。そんな親友と入学式に向かおうと、体育館を目指していた時だった。
「圭、同じクラスで良かったな!」
「本当だよ。俺、お前がいなかったらぼっち決定だし。」
「圭なら大丈夫だよ。」
「いや~どうかな。もともと一人っ子だから、一人には慣れているからな。」
「あれ?圭!」
それは突然だった。
普通に話していただけの二人だったが、いきなり親友のほうが俺を抱き寄せるようにしていた。
違う、俺のほうが真っ青になり倒れこんだのを支えてくれたのだ。
「あ、あれ・・・?」
「大丈夫か!?圭、顔色悪いぞ!」
親友がすごく心配そうにゆっくりと倒れこんだ俺を屈んでしっかりと支えてくれていた。
気づくと俺はフラッシュバックしたように、いきなり頭に情報を叩きこまれたような感覚になった。
あれ?ここは私立行進高校・・・なんか聞いたことあるな。あれ、親友が心配そうに俺を見てる。え?親友?あれ、お前の名前ってなんだっけ?知らないな。いや、俺は知っている。お前の名前ってたしか・・・。
「光輝?大山光輝?」
「圭?そうだよ。本当に大丈夫かよ!?」
「大山光輝、私立行進高校を主席で入学・・・優しくて、頼れる人気者。勉強と運動は出来ても天然で、動物が苦手。」
俺は、いきなり頭に叩き込まれた情報をそのまま口にしていた。
「圭!保健室行こう!どうした!?」
「あれ・・・なんで俺・・・。お前のこと知らないのに。」
「やっぱり保健室行くぞ!」
そう言って、お姫様抱っこをするように抱えられた俺は動揺するしかない。
「うわぁ!?何すんだ!やめろ、俺はまともだ!下ろせ~~!」
俺が止めても無駄だった。恥ずかしいのに、いろんな人がいる前で保健室まで抱きかかえられてしまった。
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