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メッセージには待ち合わせ場所と時間が書きこまれている。そこで落ち合って、S原の車でホテルに向かうのだ。
娘が帰ってくるまでには、戻ってこなければならない。急いで身支度を整え、玄関へと向かう。普段は履かないヒールの靴に足を入れ、駅に向かって一歩踏み出してから、玄関の施錠を忘れたことに気付き、我が家を振り返った。
すると ――
視線の端に違和感を感じた。
庭の向日葵がこちらを見ていた。
リビングに向かって咲いていたはずの花が、こちらを見ていた。
まるで私を振り返るように。
ああ、だから向日葵は嫌いなんだ。
夫が植えたアレは特に。
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