おかえり

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彼女は自分のしたことと向きあうために、愛してくれていた街を離れた。私はというと、ただ離れたくて、考えもなしにあの街を離れた。街は、母は、ちゃんと私を愛してくれていたのに。たったひとりの世界にこもって、自分のことしか見えていなかった。私にも、村木さんみたいな素直さや、彼女みたいな強さがあれば、こんなことにはならなかった。 悪いのは、山田千里じゃない。私だったのだ。 三時を過ぎても、彼女は帰ってこなかった。
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