彼女と私

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私たちは売店でサンドウィッチを買ってから、屋上の手すりにもたれかかって食べた。朝食用だという彼女の牛乳を互いのコップに注いで飲んだ。空を見上げると、白い飛行機が水色の空をゆっくり滑っていた。雲はひいていない。きっと明日も晴れだ。穏やかな日和と、美味しいごはんが私たちをおしゃべりにさせた。お互いの生い立ちとか、今の生活のこととか、色んなことを話した。彼女は生まれも育ちも東京らしい。私が千里ニュータウンで生まれ育ったというと、彼女はそうなんだと驚いたように言った。 「知ってるん」 「載ってたじゃん教科書に。オイルショックってそこで始まったんでしょう」 知らなかった。学年一位は地理にも強いらしい。 「それで千里って名前なの?すごいね」 私はこの街で初めて、私の名前を知っている人に出会った。 それが嬉しくて、私はついきいてしまった。あえてお互いきいていなかったことを。 「椿さんは、なんで帰らへんの?」 「山田さんはなんで?」 「私は、あの街それほど好きじゃないし。ずっとからかわれてきたから」 「そう」 彼女は視線を落とした。そして電話を切ったときみたいに、大きく息を吐いた。その姿をみた時点で、私は少し後悔していた。でも真面目な彼女はきちんとこたえてくれた。 「私はね、殴ったから、人を」
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