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かなり慌てていたみたいで
髪が乱れていた
まだ…仕事中なのに
こんなにも急いで
来てくれるなんて
「…志貴さ…ん。」
私が手を伸ばすと
しっかりと手を握ってくれた
「美桜?
今日はずっと一緒に居るから…
君は産むことだけ考えて…」
志貴さんと話してる間にも
陣痛の波は
ずーっと続いている
痛みに耐えられず
志貴さんの手を
ギュッと握ってしまった
「何処か痛い?」
志貴さんが不安そうな顔で
私を見ている
「…はぁ…陣痛が…
今は腰の辺りが痛い…です。」
志貴さんが
私の腰をさすってくれた
その後のことは
うろ覚えだ
……
…
気がついた時には
分娩台の上にいた
…えっ?!
えぇっ?!
あり得ない
感動も何も無い…
私のお腹は
ぺったんこになっていた
私は出産が終わった後
…そのまま眠っていたのだ
前代未聞だ!!
性別すらも
分からない…
記憶を手繰り寄せる
名前を呼ばれたのは
覚えてる
看護師が
私のお腹を押して
赤ちゃんが出てきた
『おめでとうございます!!
男の子ですよ~』と言われた…
そして…眠ったんだ
安心して…
………
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