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とはいえ、この嗜虐性が三次元の現実の人間や動物を対象としていたら大変なことになるところだった。が、幸いなことに、私の場合ここにさらに倒錯が続き、二次元妄想限定、というオブラートがかかる。本物の血やグロテスクな写真はまったく苦手で、一度うっかり開いてしまったグロ画像は、一週間以上夢に出てきて非常に難儀したほどだ。さらに、通常の異性に対する恋愛感情もきちんと持ち合わせていたから、社会的にも個人的にも、治療が必要な事態には至らずに済んでいる。
そして、私がそもそも小説を書こうと志した源流を最初の一滴まで分析していくと、この性的倒錯に到達する。主人公が困難をかいくぐり最後に成功する、というプロットは、安易ではあるが非常にまとめやすく、中学生の私は自分の変態性に気づかないまま一所懸命に主人公を窮地に追いやり続けていた。ここで、書くことの楽しみを覚える。
高校時代も半ばを過ぎると、これはもしかしてセクシャルな感情に結びついているのではないか、と気づき始める。だがこの時点においてはまだ、それがどうした、すべての芸術はリビドーの発現だ、と開き直っていた。
大学でようやく、なんとなく気づく。私が楽しい、心地よいと感じている文章はもしかして、一般的には理解されていないのではないか、と。苦しみのたうつ主人公は、単に哀れみの目で読まれているだけなのではないか、と。
ここで私は一旦、巧妙な逃げを打つ。BL小説なら、嫌がる相手を性的に攻め立てる手法を喜んでくれる人がいたのだ。ちなみに当時BLという単語はなく、ジュネとかやおいとか呼ばれていた時代の話である。本質的な部分では男性同士の恋愛に意味も魅力も感じないまま、何本も似たような小説を書いた。
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