第5章 出会い

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"民宿うらしま"は小さな民宿だった。 「この辺りでは1番小さいんです、でもリフォームしたばかりなんで部屋は綺麗ですよ」と笑う彼女はどうしても美穂に見えてしまう。 「1人で?」と僕が尋ねると 「ええ、この時期は1人です。でも暖かくなると忙しくなるんで、バイトかパートの人を募集したりでなんとかやり繰りしてます」 「凄いな、まだ若いのに」 「凄いなんてとんでもない、ただこの民宿には思い入れが多くて、好きなんですよね」 「うらしまって苗字なんですか?」 「これは、母方の方です。おばあちゃんは浦島みつといいます。私は死んだ父親の性なんで三崎めぐみと言います」 イニシャルもM、Mで同じじゃないか。 「もしかして、誕生日は4月とか?」と念のため尋ねてみた。 「え、どうしてですか?うちは7月ですよ」 「いや、ただなんとなく」変なことを聞いてしまった。そこまで偶然があるはず無いよな。 そう、ただ似ているだけだ。美穂ではない。 でもまだ混乱している自分がいた。 その隣に老婆が微笑みを浮かべて座っていた。
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