4人が本棚に入れています
本棚に追加
"民宿うらしま"は小さな民宿だった。
「この辺りでは1番小さいんです、でもリフォームしたばかりなんで部屋は綺麗ですよ」と笑う彼女はどうしても美穂に見えてしまう。
「1人で?」と僕が尋ねると
「ええ、この時期は1人です。でも暖かくなると忙しくなるんで、バイトかパートの人を募集したりでなんとかやり繰りしてます」
「凄いな、まだ若いのに」
「凄いなんてとんでもない、ただこの民宿には思い入れが多くて、好きなんですよね」
「うらしまって苗字なんですか?」
「これは、母方の方です。おばあちゃんは浦島みつといいます。私は死んだ父親の性なんで三崎めぐみと言います」
イニシャルもM、Mで同じじゃないか。
「もしかして、誕生日は4月とか?」と念のため尋ねてみた。
「え、どうしてですか?うちは7月ですよ」
「いや、ただなんとなく」変なことを聞いてしまった。そこまで偶然があるはず無いよな。
そう、ただ似ているだけだ。美穂ではない。
でもまだ混乱している自分がいた。
その隣に老婆が微笑みを浮かべて座っていた。
最初のコメントを投稿しよう!