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カキィィィィィン
金属と金属がぶつかり合う音が鳴り響く。
「さすが隊長だな。一筋縄ではいかないか。」
(一体)
「その言葉、そっくりそのままお返しします。ですが勝つのは我々です。」
(何が)
「ハッ!小娘が。叩き潰してくれるわ。」
(どうしてこうなったんだ。)
これは平凡な少年の身に起こった、不思議な物語である。今目の前にいる、あなたにだけ特別にお話しよう。ことは半年前に遡る。
~半年前~
彼の名前は山本涼、13歳。百王中学に通う2年生だ。黒髪の短髪に極平凡な顔をしている、平凡な少年だ。
「おはよう山本くん。」
「お、おはよう桜木さん。」
彼女は桜木愛楽。整った顔立ち、綺麗なオレンジ色のツインテール、ピンク色の瞳、抜群のスタイル、優しい性格で天然。この学校のアイドルだ。涼が憧れている女性でもある。今年は運良く同じクラスになれた。
「なんだ~涼、我らがアイドルと随分仲良さげじゃね~か~?」
「ただ挨拶しただけだろ?お前はいつと大袈裟なんだよ…。」
彼は柴垣綾太、涼の腐れ縁の親友だ。スポーツ万能、明るい性格、青みがかった黒髪、おまけにイケメンだからモテるモテる。この月だけでももう2人に告白されているらしい。たいしてモテない涼にとっては羨ましいかぎりだ。
ジー…
「おい、涼。ほらあっち。」
「ん?なんだよ?」
フイ…
「黒野さん、ここ最近よくお前のこと見てないか?おっ!もしかしてモテ期到来か?」
「そんなわけねーよ。第一黒野さんって恋とか興味無さそうだろ。」
「それもそうだな。なんか『そんなことより勉強しましょう。』って言いそう。」
彼女は黒野碧さん。瓶底メガネにきっちりお下げのこの時代珍しい、絵に描いたような真面目さんだ。あだ名は『地味子』。本人も納得してる。
「噂なんだけど、黒野さんってどこかのお嬢様らしいぞ?」
「確かにそれならあの格好も納得がいくな。まぁお嬢様じゃなくても結構厳しい家なんだろ。」
「だろうな。」
キーンコーンカーンコーン
「おーいお前らー、席につけー。」
「やっべ!後でな涼。」
「おう。」
「えー、今日の予定は~…」
担任のつまらない話が始まる。ここ最近、普段の日常がつまらない涼にとってこの時間は通常より2倍ほどつまらない時間だ。
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